沖縄で飼われてた鶏が捨てられる事件が続いている
しかも闘うために飼われてた闘鶏用の鳥だから、傷ついたまま袋に入れられたりするそうだ。
僕らは普段ニワトリの卵を食べたり、鶏肉を食べたりしてる。
間違いなく日常的に彼らの命をいただいているのだ。
ある意味で、動物の命は人間の手の中にある。
でも、傷ついて役に立たなくなったからといって、そのまま捨てるのはあまりにも残酷ではないだろうか。
■■■ 目 次 ■■■
法律がどうこう以前に、もはやモラルと責任感がない。
どんな目的であってもいったん生き物を飼うことにした以上、最期まで責任を持って世話をするという覚悟が必要なのではないかと思う。
戦わせることのみを目的で飼うのなら、ケガをしてしまえばもう価値がないということなのだろうか。
袋に何十羽も詰められ、捨てられ…「傷ついた闘鶏を助けたい」 沖縄・東村の男性が保護 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
ただし、沖縄だけの問題ではない。
鶏だけの問題だろうか
競馬用の馬も、走れなくなったら殺処分される。
価値がなくなれば殺すのだ。
毎年7000頭もの子馬が競走馬として生まれるものの、競走馬の99%は寿命を全うすることなく殺されてしまうというのが現実。
鶏を戦わせるのも娯楽、競走馬を走らせて競わせるのも、形は違うが娯楽そのものである。
ちなみに、傷ついた鶏を生きたまま捨てると動物愛護管理法違反の可能性があるが、娯楽に役に立たなくなった馬を殺すのは違法にはあたらない。
いくら安楽死だとしても。
法律なんてそんなものだ。
馬の安楽死の場合、屠殺であれば食用になるが、薬殺であれば薬が残るので食用肉にはできないそうだ。
娯楽のために生まれてきて調教された動物たちと、利用価値がなくなれば殺す人間。
普段はあまり問題として取り上げられることもない。
日本の犬と猫の殺処分の数
猫や犬だって、日本だけでも毎年なんと4万頭以上が殺処分されている。
4万頭というと、毎日100匹を軽く超える。
毎日処分されていく100匹の犬と猫の、最期の悲しい叫びが聞こえるだろうか。
それでも日本の犬や猫の殺処分の数は大幅に減ってきている。
環境省のデータによると、平成16年度では犬と猫を合わせるとその数は39万4千頭である。
なんと、毎日1000頭を超えていたのだ。
鶏だけじゃないんだ
飼い主の価値観と無責任さ(その他の事情もあるが)で、日常的にいろんな動物が処分されてゆく。
生きたまま捨てるのはモラルに欠けると言われるけれど、その裏側で毎日たくさんの命が人間の身勝手さによって合法的に消されていくことから目を背けてはいけない。
利益を求めて
会社運営は、法律で定められていたり、違反した場合の罰則がないところは、たいてい利益最優先の経営になる。
ペットショップでも、ヨーロッパなどではきちんとした面談を繰り返すなどして、新しいペットの飼い主が後々まできちんと世話できるような仕組みが出来上がっているが、
日本では【無責任な飼い主・準備ができていない飼い主・知識がない飼い主】でも、お金さえ払えば簡単な説明を受けただけで生き物を商品として買うことができる。
もちろん、ペットショップで動物を買う人が全て無責任というわけではない。
家族として一生大切にする飼い主も大勢いるだろう。
ただ、同じショップで買われても誰に買われるかで、まるで人間と同じように育てられ、トリミングや病院に連れて行ってもらえる子もいれば、途中で路上に捨てられてしまう子もいるのだ。
猫なら半野生でもたくましく生きていくことができるかもしれない。
でも犬の場合はそうではない。
保健所の職員が来て連れて行かれることになる。
そして引き取り手が見つからなければ殺処分へ。
台湾での動物の安楽死にまつわる悲しい出来事
つらいのは公務員など、行政の仕事として殺処分の業務に関わる人たちでもある。
市民の尻ぬぐいを毎日行なうのだ。
若い女性獣医が自殺して社会に訴えた
来る日も来る日も引き取り手のない動物を安楽死させるという仕事は、ストレスも相当なものだろう。
これは日本の問題だけではない。
台湾では現在は殺処分禁止の法律が施行されているが、まだ殺処分が行なわれていた頃、桃園市の動物保護センターで勤務していた獣医の簡稚澄さんも同じ苦しみの中にいた。
台湾の最難関大学の獣医学部を卒業して、さらに公務員試験をトップで合格したということなので、日本で言えばその気になれば公務員1種のキャリアクラスにもなれたのだろうか。
しかし根っからの動物好きで、現場の仕事を選んだことが悲劇につながってしまう。
「保護センター」とはいうものの、実際には保護される動物たちの多くが殺処分を余儀なくされ、彼女が処分したのは2年で700頭。
平均すると1日あたり一匹ずつ。
それでも処分される動物を少しでもリラックスさせようと、人一倍の努力をしていた。
この現状をニュース番組を通して社会に伝え、行き場のない動物たちの引き取り手を増やそうとしたことが完全に裏目に出てしまう。
テレビで涙ながらに訴えたものの、その後動物保護団体から個人攻撃を受けることになる。
「肉屋」「美しき虐殺者」「死刑執行人」などと呼ばれ、脅迫までされた。
捨てられた動物に寄り添い、行き場のない彼らに懸命に引き取り手を探していたというのに。
実際、彼女の勤務していた保護センターは、台湾の他のセンターと比べると持ち込まれる動物たちに対しての殺処分率はかなり低かった。
忙しい業務の中、里親を懸命に探していた証拠ではないだろうか。
やがて追い詰められた彼女は動物たちの安楽死に使っていた薬を自分に注射し、命を絶った。
最後の書き置きにはこう書かれていたそうだ
『捨てられた動物にも命がある…(略)
理解してもらいたいです。命を大切にして』
台湾では現在は殺処分は禁止され、さらに施設にペットを持ち込む場合は有料にするという改善がなされている。
また、彼女の自殺は殺処分に関する新しい法律が施行される準備期間だったので、いずれ殺処分が廃止されることは彼女自身も把握していたそうだ。
それでもプレッシャーと、孤独と、批判の嵐に耐えきれなかったのだろう。
その後、ようやくこの件で彼女が追い詰められていたことを国民が知り、擁護する声が高まり、誰が悪かったのかと悪者探しも始まったが、失われた命はもう戻らない。
世論とは注目が集まらなければ動かない。
一部の、批判的な意見ばかりが個人に集中すれば、それが大部分だと感じてしまうこともあるだろう。
誰に責任があるのだろう
政府
法律
ペットショップ
保護センター
動物を捨てる飼い主
彼女を追い込んだ動物保護団体…
誰かが死ななければ、大きく世論を動かすことはできないのだろうか
きっと若く美しい獣医の目には、
人の命も
殺処分される動物の命も
同じようなものと写っていたのではないだろうか。
沖縄の鶏の話から大きくそれてしまったが、
普段の食生活で動物の命を頂いて命を繋いでいる人間として、せめて不必要な命を動物たちから取らないように、できることがあるのではないかと、私は考えずにはいられない。
ポリフェノール
それでも命を買いますか? - ペットビジネスの闇を支えるのは誰だ - (ワニブックスPLUS新書)
- 作者: 杉本彩
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2016/03/09
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
犬たちをおくる日―この命、灰になるために生まれてきたんじゃない (ノンフィクション 知られざる世界)
- 作者: 今西乃子,浜田一男
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2009/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 16人 クリック: 885回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
世界でいちばんかなしい花 (それは青森の女子高生たちがペット殺処分ゼロを目指して咲かせた花)
- 作者: 瀧晴巳
- 出版社/メーカー: ギャンビット
- 発売日: 2015/09/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る