医療崩壊とは
医療崩壊を簡単に表現すると
【医療と治療のバランスが崩れ、患者が必要とする適切な医療行為を受けられなくなること】
です。
例えば、通常であれば1日最大100人の診察と治療ができる病院に、150人の患者が押し寄せた場合、病院のキャパを大幅に超えて治療できない状態になるので、この病院では医療が崩壊したということになります。
季節性のインフルエンザや風邪が流行する時期に病院に行くと、通常の待ち時間よりもはるかに長く待たなければならない場合もありますが、新型コロナウイルスに関連した問題では病院の受け入れ能力を大幅に超える患者が来院して、病院側が受け入れを断ったり救急車が路上で何時間も待機するという状況がすでに生じています。
こうした状況化になると、深刻な心臓や脳に関連する搬送と治療に一刻を争う病気の患者さんであっても、治療の遅れによって手遅れになってしまうという可能性も大きくなります。
新型コロナウイルスによる海外での医療崩壊は?
治療できる数に比べて、患者数が大幅に上回り、医療が追い付かずに崩壊してしまった国はいくつもあります。
それも、日本の「医療崩壊」とは異質の、本当の医療崩壊が起きています。
例えばアメリカのニューヨークは被害の大きな地域の一つです。
現時点でも感染者数41万人、死者数は3万2千人を超えています。
こうした爆発的な数字の感染者数を出している国や地域では、新型コロナ患者が出ても治療そのものが受けられないという意味での「医療崩壊」が起きています。
日本では、救急搬送や治療の遅れなどが問題になっていますが、海外では病院にさえ行けずに自宅で息を引き取る例も多数報道されています。
こうして考えると、日本は医療は健康保険でも充実しているし救急車にも乗ることができる、ありがたい国であると言えますよね。
また、昼夜を問わず新型コロナウイルス患者と向き合っておられる医療関係者の方々には本当に頭が下がります。
とはいえ、現場の医療機関の状況はかなり切迫してきています。
日本での病院の破綻の始まり
岡山県真庭市の病院が、新型コロナの影響下では全国初となる自己破産を申請しました。
報道によると、コロナウイルスによる直接の影響というよりは、もともと経営が難しくなっていたところに外出自粛がとどめを刺してしまったというような状況のようです。
総合病院や内科などの、直接新型コロナ患者を受け入れている病院ではないとはいえ、今回の騒動下では日本で初めての病院の倒産という事もあり、注目されています。
今後、ドクターや看護師の方々の精神的・身体的な負担が続いてスタッフ不足に陥り、運営が厳しくなる医療機関も出ないとは限りません。
そうならないためには、病院側だけでなく国や自治体によるケアや補償もしていかなければならないでしょう。
ひとりひとりが今すぐにできる事
また、私たちができることとしては【不当な差別をしないこと・本人やご家族にも理解を示して差し上げる事・偏見の目で見ないこと】などがあります。
なかには、医療従事者というだけでコロナに感染しているのではないかと勘ぐったりして差別的な目で見る人もいるようです。
最前線で働いていると院内感染の可能性もゼロではないものの、誰にでも感染の危険はあります。
万が一、今後自分や家族が感染したら…。
そう考えれば、自然と医療従事者の方にも人間らしい接し方ができるのではないでしょうか。
コロナ問題が速やかに終息して日常がもどることを願っていますが、世界の流行の数字を見ていると、まだまだ感染は拡大しています。
もうしばらくは気を緩めずに対策を続けていきましょう!